頂点に極めたこの男の成功の秘訣は?
成功の秘訣は?と問われた彼は、即答した
「好奇心」
この好奇心と探求心にあふれたシェフは世界各地を飛び回り、常に前進と変化、刺激と学びを取り入れている。
彼の行動範囲は、世界各国の市場、菜園、養殖場、世界の果ての安食堂から超高級料理店までとにかく動きまくっているのだ。
彼の名前はアラン・デュカス
好奇心旺盛なリスクテイカーでもある彼は、このドキュメンタリーが作られた時点で世界に20店舗以上のお店を展開し、ミシュランの星を18獲得している。
最高の食材を求めて、様々な学びを求めて世界を旅し、仕事をこなす彼はハードワーカーであろう。撮影時に彼は50代後半である。これは好きでなければ出来ないというレベルではなく、魂をささげていると言ってもいい姿だ。
そんな彼にとって
「日本は味と才能の宝庫」であり、それが濃縮された場所と彼が言う、京都でのランチとディナーは見るからに美味しそう。
彼がどんな食事をどこでしたのかは、観てのお楽しみ。
常に高級料理店、美食産業にかかわるアラン・デュカスだが、単なる金満家向けの美食の追求ではなく、脂肪や糖分の少ない自然な味を目指している。それは彼の実家が農家であったことも関係しているのだろうか、農園からとれた野菜たちを吟味する姿は収穫の喜びにあふれていて、
「皿の中に自然が存在する」という彼の信条、美意識は、安全な食材、関わった人への感謝、そして素材に対しての適切な調理法にも込められている。
華やかな美食産業と共に彼は慈善事業にも熱心だ。
「貧富の差なく食を分かち合う尊さ」を説く彼は、料理の専門学校を設立しており、そこで恵まれない子供たちに料理を学ばせている。
これは、ペルーの料理人ガストン・アクリオなども自国で似たような形で尽力している。とても素晴らしい。
料理人ガストン・アクリオ美食を超えたおいしい革命~鑑食道楽 - 食うて笑うが日々の糧
アラン・デュカスは素朴で自然な料理、環境に配慮した、伝統に基づく持続可能な食を実践している。奇抜な調理法で、単なる驚きを演出する味覚を科学する料理はこれからの潮流ではなくなるだろう。
体に負担のない安全な食というものが価値を持つだろうし、そうであって欲しい。彼の考えや哲学は、料理を仕事とする人々に食の分かち合いの意味を再確認させてくれる。
素晴らしい作品です!