食事をしながらの会話
食事をしながら話をするのか話の合間に食べるのか、飲みかつ食べて大いに話をして・・・などというのは、付き合いの浅い人とは拍子が合わずにできにくい。
それなのに、恋愛への道のりはこの「二人で食事」を避けては通れないし、職場の付き合いでもちょっとした飲食はついてまわる。
付き合いの中でも、恋愛の場合は特に相手の食事中の態度や食事の仕方が気になるところだろう。
年若い知人たちに何か気を付けることは?と聞かれて、
苦手な食べ物をその場しのぎで曖昧にしないこと、食べたくないものは食べたくないと言うこと
と、いつも答える。
嫌われまいとして、それほど好きでもないラーメンをデートで頻繁に食べるはめになったり、胸やけをこらえてホイップクリームが塔のようにのせられたパンケーキを作り笑顔で食べたり、蕁麻疹が少しでる程度だからとアレルギーを黙っているようでは、もうほとんど接待に。
だから、デートあれ仕事の付き合いであれ誘う側は相手の「苦手なもの」を知っておくのが常識だと思っておいたほうがいい。
「何か食べたいものは?」ではなく「好きなものと苦手なもの」をおさえておくと後はこちらの好みの料理に近いものを選べばいいのであるから、選択がしやすく提案もしやすい、かつ自分も美味しく食べられる。
そして誘われた側は、相手のため自分のために遠慮せず情報を提供することで、最終的には相手に気を遣わせずにも済む。
何を食べるかで遠慮合戦、それは控えめな人でなく優柔不断なだけです。
箸の使い方も気になるけれど・・・
お店に入ってお店のスタッフに横暴な態度をとる人とは、どのような間柄でも付き合いは遠慮したくなるのが普通でしょう。
「俺は客だぞ!!」
「えぇ、見たら分かります」
まぁ、こんな人を食った返答をするお店の人はあまりいませんが、まわりで見ていたお客様は大笑い。
え?ひどい接客?・・・すみません、これ、私のことです。
サービス業は、お客様第一にという点ばかりに重きを置いてしまうとお店で働く人間の心が荒みます。いいサービスのためにも、お店のクオリティーを維持するためにもときにはお客様を選ぶことがあって当然だというのが私の考えです。
とにかく、お店での横暴、乱暴な言動をする人には要注意です、まず気分よく食事を楽しめないでしょうし、行ける店が限られてくるでしょう。
さて、食事をしながら話すわけですが、口元がゆるくて、しかも喋りたがりで自制心のない人は、飲み込む前に喋りはじめるから中途半端に咀嚼され残ったご飯粒や蕎麦の切れ端が口から飛び出してくるのですぐ分かります。
緊張してしまうと早口でまくしたてちゃうタイプの人は、細かくかみ砕いた枝豆の散弾を相手のお膳に乱射することになりますから、お通しででた枝豆を空腹だからと急いで食べてはいけません。
多少見知っている者同士でも、適度な量を口に入れて、素早く咀嚼して話題にも気を遣いつつ、返事をする、話題をふるというのは緊張するもの。
会話は途切れ途切れで、お互いに浅い疑問をぶつけあうという会話内容は、まるで腹の探り合いという結果に。
そういう場合は、先に自己開示から会話をスタートさせるとわりと楽なようです。
相手に投げかけようとする疑問を自分から話す。
「○○は好き?」では、なく
「自分は○○が好きなんだけど」から「で、あなたは何が好き?」という展開が相手にとっての返答例を先に自分が提示しているので相手の会話的な負担が少なくてスムーズに。
このあたりは、飲食の業のカテゴリーでいつか接客として書くかもしれません。
相手に負担の少ない会話術は色々なシーンでとても有効です。
相手の食べ方が気になるという人は思いのほか多くて、箸の持ち方で幻滅、咀嚼音が激しくて逃亡という例も。
焼き魚の食べ方などは、何回か訓練すれば誰にでもやれることですが、身についた箸の使い方はなかなか変えられないもの。とはいえ、効率よく箸を使うためにも持ち方は基本形をおさえておくのがベターです。
そして、箸先の使い方が箸のよごれ具合を決めるので、箸先は2~3センチの短めに使うことが品の良い食べ方に見えるコツです。
これは、言うは易しで、お茶漬けひとつとっても、箸先を1寸だけしか汚さないで食べるのは、ちょいと工夫がいるものです。
そして咀嚼音。これはもう身についたクセですから気を付けるしかないですが、とにかく口を閉じる。
あとは、口にに入れる食べ物の量を減らして、少し顎をひいて食べるようにすると大口は開かなくなりますから、咀嚼音も出にくいでしょう。
食べものの好みで人と繋がったり、食べ方ひとつで他人から判断されたりで、食事をしながらゆっくりお話しでも・・・というのを苦手とする方も。
誰かと食事をすることは楽しくもあり、時に気を遣うことでもありますが、デートの場合、過度の緊張はよく見られたいという見栄と背伸び、そして失態への恐れからくるものです。
いくつかのポイントと情報をおさえておけば失態や気まずさは防げます。
良く見られようとする人よりも、美味しく食事をいただく姿のほうに好感を持つ人がずっと多いのですから、まずは、丁寧な食事の食べ方を自然体で出来ることのほうが大事なのかもしれません。