「何系が好きですか?」という質問には、料理のジャンルなのか、食材のカテゴリーなのか、味の感覚なのかよくわからないものが含まれている。
「何系が食べたい?」
「ん~、あっさり系」
と答えたとき、相手にはどんな「あっさり」が浮かぶのか心配だ。
寿司はあっさり系なのか、しかし、大トロやウニはどうする。
では、蕎麦はどうだ、天ぷら蕎麦はどの程度のコッテリなのか、〆はやはりおろし蕎麦になるのだろうか・・・などと考えていたら
「近くに美味しいうどん屋がありますよ」と。
微妙なビミョーな、野球だったら絶対に見逃すボール球みたいな店選びをしてくる人もいて、ものすごく複雑な気持ちで食事をしたことがあった。
お酒を飲むという前提でこんなふうな聞き方をする人もいる。
「お腹は空いてる?」
お腹がそれほど空いてない状態でお酒を飲むパターンというのもあるにはある。
たが、私の体型を見ているなら「お腹減ってない確率はかなり低い」と予測するのが理にかなっているのは確かだが「お腹減ってるよね?」よりかはいい。
人は、図星を言われると少し反抗心が起きるものなのだ。
「アンタはどうなんだよ!!!」と聞きたい気持ちをこらえて
「はい、空いてます」と答えると、会社の上司などは急に
「よーし、じゃ肉いくか、肉焼いちゃうか!」と、はしゃぎだしたりもするが、少し慎重なタイプの人は、さらに重ねて「じゃ~何系がいい?」と聞いてくることも。
メンドウだな・・・と思う。
いっそ目の前のコンビニのおでんでもOK!な気分になるが、これ会社の上司や仕事関係の人だとそうはいかない。そういうときは相手の好みを聞こうとするのだが大体は
「いや、キミのための食事だから、好きなもの言ってよ」となる。
なぜか自分の食に対する手の内を明かさないタイプの人には、寿司、蕎麦、うなぎ、中華など、とにかく分かりやすく返答するしかない。
しかし、店が決まってもメニューがなかなか決められない人とは、次回から食事にいくようなことにならないようにしている。
「紹興酒どう?」
「いや、飲まないです」
「そっか、飲まないか~」
「お飲みになればいいのに」
「いや、いいんだ、そんなに自分も飲みたくないから」
こういう人には、お店に飾ってある銅鑼を耳元で叩きまくってやりたくなる。
疲れる食事は消化がよくないのか、よくもたれる。
だが、気心がしれた相手との食事は気楽だ。
私の友人知人は、おまかせタイプが多く、次いで食材タイプが多い。
何が食べたい?という質問に対して
「なんでもいいよ」と答えるのではなく「おまかせで」という友人らは、私の食いしん坊万歳三唱っぷりを知っているので、まかせておけば大丈夫というわけだ。
次の食材タイプは、「お肉」とか「お魚」という分かりやすい希望を言う。
魚だと言われたら、煮魚が美味しいお店か、ボリュームたっぷりの刺身盛り合わせが美味しいお店を選択してもらえる。わかりやすい。さくさくとお店が決まると気分も足取りも軽い。
最近は、ぱったり気楽な食事にも出かけていないから、待ちに待って友人と食事に出かけたときの一杯目の乾杯ビールは色んな意味で感慨深くなりそうだ。