今までのやり方のままでいいのか
2000年代に入って一番のペースで飲食店が倒産しているのではないだろうかと感じていたが、帝国バンクによると上半期では2000年度以降過去最多のペースで増えているらしい。
新型コロナでどこも厳しい。
先月も聞きなれた家系ラーメン店が破産手続き開始決定をしていると話題に
なっていた。
コンビニに店名の入ったカップ麺が置いてあるようなお店になってもコロナ禍では厳しかったのだろうという見方は当然あるが、そこまでになったのになぜに倒産したのかという疑問も多くの人が抱く。
ラーメンはテイクアウトが伸びにくい商品であるから、たしかにコロナ禍では不利であったろうと思うが、かなり厳しいのでは??という予兆はかなり前からあったように思う。数年前に本店が閉店するよりも前に。
たまたまのミスをねじ込まれて「接客態度が悪い」などというクチコミがネットに上がることを極端に恐れる必要はないけれど、店内の清掃が行き届いていない点や店員さんの接客程度があまりにもひどいとなるとこれは深刻な問題で、そこに味や質の低下が加わると常連さんのリピートは激減するし、
一見さんからは
「二度と行かないお店」にふりわけられてしまう。
ひどい状態が続くと、常連さんには「終わった店」呼ばわりされて
ジ・エンド。
久々に訪れたお客さんが一口食べて「これは・・・」と箸が止まってしまう
ほどに味も質も低下するのは、お店の作り手の怠慢が重なって起こることだが
それが表面に出てきたときは、すでに多くのお客さんの足は遠のき始めているわけで急ぎ手を打たないといけないのだが、単に店主が従業員を叱責するだけではなんの意味もないどころか悪化してしまうことすらある。
店主が、人手不足を補うのを先決にしたために、味や質を良くしようという熱意や向上心がない人材にお店を任せていたという例は多いのもので、そのツケは、やはり大きなマイナスになって返ってくる。
では、そうならないように徹底した管理をして・・・と思うかもしれないが、
管理とは何か???
ある店主にそう問うたことがある。
その店主の返答は
「従業員にしっかり責任感を持ってもらうこと」であった。
こういう考えは、
「日曜日に近所の公園の清掃にご協力ください」と書いてあるお知らせよりも
効力がないことだけは確かだ。
店内の清掃ひとつとってみても、責任感ある掃除とない掃除の違いは歴然だという人もいるが、お客さんから見れば、丁寧できれいか雑で汚れがついているかである。こういう環境を管理するには、
きっちり基準を決めておくこと。
やり方の違いは多少はあっても、結果がある一定レベルから落ちないように決めてしまうことだ。そして、そのレベルを従業員に確認、維持させること。
「このレベルの結果は求められるのだ」ということを従業員が把握していない共有していないことから手抜きが始まり、基準が曖昧だとその下振れが激しい。
求める結果の基準が決まったら、その仕事にかかる時間を店主や責任者が実際にやって計測してみるといい。
急ぎすぎず、丁寧にやるとどれくらいかかるのか、アイドルタイムに再度汚れている場所の清掃と点検をする場合にはどれくらいかかるのかなど、ある基準を作ってしまうほうが管理はしやすい。
従業員はその基準と時間を満たすことに集中すればいいので、人によって違う基準に振り回されることもなく、新人さんでも仕事が覚えやすくレベルを共有しているので維持もしやすい。
責任感という見えないもので仕事をしてもらうよりも、やり方、数字、見た目、確認、維持、点検と店舗側が提示したほうが効率がよくチェックもしやすい。
そう、
管理、維持、チェックをいかに効率よくするか
効率よく出来る仕組みを作れるか
これはお店の清掃だけではない、商品の品質や営業中の作業効率などにも
かかわりがある。
こういうと必ず「無駄を省いて効率化する」という方向だけに考えがいく人も
いるが、効率は従業員のためであることを忘れてはいけない。
あるお店の店主がこう言った。
「時給が上がってるでしょう?その分しっかり働いてもらわなきゃダメだよ」
そのために無駄を省いて効率化したいという。
私はその考えには賛同しなかった。
私のいう効率とは、極端なことを言えば
店舗側が努力して従業員が楽をするためにある
からだ。
だが、その従業員の「楽」が生み出すもののお店への見返りはとても大きいのである。
次回に続く。
