労働基準の遵守と長期見通しの利益は両立するのか
『一方的に貪るような考え方では、勝つことはできない』
囲碁の名手、王 積薪の言葉である。
吉野家の「生娘シャブ漬け戦略」にも驚いたが(もう時代劇でも聞かないような「生娘」とシャブ漬けというワードを合わせた、ふた昔くらい前のVシネマの悪役のような戦略ネーミングだし)、最近炎上続きのくら寿司にも驚いている。びっくらというか、ガックリポンである。
「お前は勤務態度が悪いからダメ」くら寿司で従業員の有休取得“拒絶”が横行の疑い #スクープ速報 #週刊文春 https://bunshun.jp/articles/-/54609
これ本当だったら、組織としてもダメだけど、社員の教育もやりなおした方がいい。
有給休暇については、小売店や飲食業界には前時代的な慣習みたいなもんが、まかり通っているところがある。個人店で、オーナー店主が好きなだけ働く分には問題はないが、誰かを働かせるとなると話しは別である・・・はずなんだが、そうはいかないことが多々ある。つまり、法律を厳守するのが難しい構造になっているってこと。
特に飲食は、難しいだろうと思う。いつでも好きな時に使えるのが有給休暇なわけだけれど、繁忙期には勘弁してねというのはよくあることではあるし、人員がギリギリの場合には、さて誰かが数日有給休暇をとりますとなると、閑散期でも店長の鬼連勤に頼ることを前提としているから、店長の予定まで考慮したりすることもある。
スタッフ:「来月の第二週に店休日と有給休暇あわせて4日ほどお休みしたいのですが」
店長:「ちょっと待ってて、俺の予定見てくるから」
こんな感じである。店長の家族の予定まで関わってきたりすると、大家族のスケジュール調整になってしまい、お互いに境遇を気の毒がってはみるのだが、どこかで仕方ないという気持ちが湧き上がってしまう。
刷り込まれたような、仕方ないっていう気持ちが、ブラック体質を支えているといってもいいだろう。サービス残業を仕方なく受け入れていれば、本当に必要な人件費は出してくれないのがあたり前になる。店舗に必要な最低ラインでない、最適な人員配置での人件費がいくらなのかさえ分からなくなってくるのだ。
そうならないためにも、風通しのいい上下に忌憚なくものが言えるポジションの人を置いた方がよく、そういう人材がいたほうがスタッフ側の不満もたまりにくく、離職率も低くなるのだけれど、前時代的な感覚で組織を組み立てていくと、絶対に置きたくないポジションなんだろうなと思う。
売り上げのために、薄利にするという矛盾を抱えながら、従業員の権利ややる気を搾取するということがどういう結果になるのか。こういう負の構造のマイナス成長は忍耐をもってやり過ごすのか、それとも大きな犠牲を何度も出したあとに閾値をむかえるのか、どちらにしろハートウォーミングな気分には程遠い。
さて、暗い気分は金曜の夜には不向き。
ワインでも片手に温かい気持ちにチェンジしていこう
そう、どんな人にも正しい言葉を使って、誠実に教えることは大事です。
映画「トスカーナの幸せレシピ」オフィシャルサイト (hark3.com)
笑いながらワインをガブ飲みしたいって人には
ワイン飲みまくりの週末へ!