大盛、格安、新鮮で毎日だって通いたい酒場
広いホールにずらりと並んだテーブルと椅子。その間にポツンポツンと酒燗器が置かれてある。
「飯は大盛、酒は格安、料理は新鮮」これがこの酒場の信条のようだ。壁には、ニッポンビールのビールケースと力政宗の酒樽。
品書きは、焼き鳥10円からはじまり、バタピー、お新香、ベーコン、鯨みそ、玉子、冷奴、湯豆腐、しめさば、チーズ、ウニ、かき酢、こはだ、ソーセージ、五点盛。季節のもは、もろきゅうとそら豆。丼もあれば鍋もあり、お腹いっぱいにも、軽く一杯にも使えるお店である。
それに、このお店には、中二階にステージがある。歌の修行に励む青年がお店を手伝いながら歌の先生とステージをつとめることもあれば、お店のお客様がのど自慢をやる時もある、お好みのレコードを電気蓄音機でかけることも。そしてなにより、大人気のストリップショーがある。
商売繁盛で大人気のお店。キビキビと働く従業員が、客あしらいも爽やかに活気にあふれている。来るお客も、ヤクザもんから元画家のパチプロ、元軍人の不動産ブローカー、学生たち、会社員、職人、そして、高名な歌の先生と様々で面白い。
時代だなと感じるのは、喫煙天国だったから、席に着く前にすでに煙草をふかしながらやってくるお客がいること。お店でも席をまわってタバコを売る人がおり、そのタバコは、元画家の先生がパチンコでとってきたものを店が仕入れているらしい。ピースが35円でヒカリが20円。
お店は、ドッグカフェなんて名前はなくても当たり前のように犬猫を受け入れていおり、猫を抱えて入ってくるお客もいる。お店のステージには犬がちょこちょこ登場する。
どんな酒場かって???
内田吐夢監督のたそがれ酒場。お酒の肴にもなるオスス映画。
この酒場は絶対に行きたい酒場である。
カウンターで、元画家の先生の隣に座ってゆっくりと飲めたら最高だ。ちょっぴりしんみりと、しかし、温かい気持ちで飲めるだろうと思う。