レトロと牛乳瓶満載!!
牛乳が東京の学校給食に登場したのは昭和33年(1958年)頃だそうで、昭和の半ばあたりから、牛乳が苦手な生徒にはちょいと受難の日々であったのだなぁと。苦手なものは食べなければいいのですが、20年ほど後に給食を食べ始めた私の時代でも、食べ終わるまで、飲み終わるまで先生が許さないというクラスもありました。
私は食べたくもないものを食べよと強いられている仲間を見ているのが心底嫌でした。好き、嫌いは「ワガママ」で、苦手なもの、無理して食べれば吐き出したくなるようなものでも、残すことは 「食べ物を粗末」にしているという考えも大嫌いでした。
私は、献立表を見ては、仲間と分担して牛乳班、人参班、レーズン班など作戦をたて、仲間がバカみたいな価値観で辛い思いをしないように協力したものでした。私がよくお世話になったのはグリーンピース班(笑)。
この映画は1956年の作品だから、学校給食に牛乳がつきものとなる少し前で、もちろん出てくる牛乳は全部瓶です。当時の牛乳は月極配達の場合、1本約14円。玄関の外に牛乳専用の蓋つきの箱が設置されている風景は私も子供時代にはよく見ました。
私の大好きなフランキー堺が出ている。小沢昭一、岡田真澄、中原早苗、西村晃など馴染みの方々も。水の江瀧子も本人役で出演。頬の膨らんでいない宍戸錠も見れます。
長州から出てきた主人公(フランキー堺)が苦境にある親戚の牛乳店を手助けするというお話しで、敵対する牛乳店の妨害にもめげずにハッピーエンドを迎える。
主人公が長州から乗ってくる汽車は煙をあげ、タクシーも、出てくるスクーターもレトロ感があって、かっこいい。タクシーのドアガラスには当時の初乗り料金80の文字。10円を入れて使うガスコンロは、当時はわりとアパートにも設置されていたのだろうが、現在ではドヤ街の宿泊所でもなかなか見かけないものだと思う。
主人公が東京の親戚の牛乳店に着いて最初の夕食はチキンライスのようなもので、可愛い旗が立てられている。キャベツの千切りにソーセージがカットされているものが乗っていて、別に目玉焼きが2個。ごちそうである。もちろん飲み物は牛乳。合うのか!?
主人公が配達でまわるお家にも様々あり、それを見て主人公は
「東京は不思議なところだ、1本の牛乳を5人で分ける家もあれば、ワンワンが2本ずつ飲む家もあります」といいます。
これは牛乳から見る貧富の格差なんでしょうね。それでも貧しいながらも牛乳の配達をしてもらってまで飲むのですから、栄養がある、体にいいという思いが強かったのでしょう。昭和40年には旧厚生省が、低所得層の妊産婦と乳幼児に1日1本の牛乳を無償で支給したことがあったようです。栄養をつけてねってことだったんでしょうね。
この映画の公開された年には、紙パックの牛乳も販売されています。そう、三角形のあれですね。しかし、やはりレトロ感があるのは瓶入りでしょうか。特に銭湯に通ったことのある人には、湯上りの1本は瓶入りのコーヒー牛乳だったりフルーツ牛乳だったりしたでしょうから。ただ、一昨年は明治、去年は小岩井が瓶入りフルーツ牛乳を終売としたので(ペットボトルになります)、少し残念な気も。
さて、今夜は昔を思い出して番台はないけれど銭湯気分で、お風呂上りに瓶入り牛乳を腰に手をして飲んでみましょうかね。