5人のお茶売りのお話し
出かけた先の駅の商業施設の入り口に長い行列ができていた。制服姿の学生たちが目立つ。ちょうど入り口の真横にスタバがあり、密を避けるために屋外にならんでいるようだ。
体質的にほとんどの場合デカフェである私だが、ときには飲みたくなるときがある。そういう時に頼むのがチャイである。スタバのチャイティーラテはチャイのシロップを作って作られるので、煮だしたミルクティーな感じはあまりしないけれど、まぁ、気分的なものだし、それなりに美味しい。ただ、このドキュメンタリーを観てからは、10ルピーのチャイの味わいはどんなものかと考えつつ、自宅で時々マサラチャイを作ってみたりもしている。
マサラチャイ
- 発売日: 2020/05/02
- メディア: Prime Video
マサラチャイの作り方的なものではなく、チャイワラと呼ばれるチャイを売る5人の日常を映したドクメンタリー。ものすごく個人的に突っ込んでいるとかではないけれど、それぞれの生い立ちや考えの違い、リアルなインドの貧困、差別も垣間見える。
生ごみを捨てる場所で、牛たちに交じって野良犬もごはんを食べ、そこに出がらしの茶葉を子供が捨てにくる。子供たちは、市場でチャイを売る主人の下で働いて、一定年齢になれば独立してチャイを売る。厳しい境遇を乗り越えた主人の下で、同じように貧しさにあえぐ子供たちが、這い上がる手段としてこの小さな商売を学んでいるのだ。
屋台でチャイを親父さんとは違うやり方で売る娘。その姉の結婚と持参金。
持参金!?これはダウリーと言われる結婚持参金で、花嫁側から花婿側へのものらしく、1961年に禁止されているけれども、黙認って感じで文化として残っているとか。しかし、この持参金に絡んだ自殺や殺害もあるらしく完全に悪しき慣習だからすぐに無くなりそうなもんだけれど、いまだにあるというのは不思議なことで、こういう古い慣習がおかしいと感じていてもその壁がなかなか強固な環境の場合、激しくストレスになるだろうなと思う。結婚に関しては、他のチャイワラの人も作品の中で話していたけれど、やはりカースト制度も関係してくるらしく、
「カースト制度は今でも人々の心の中に残っている」という言葉はとても重く感じた。
他には、映画会社の専属チャイワラや最高品質の茶葉を扱うティーチェーン(値段は屋台の9倍)の経営者なども出演している。
チャイを飲み、クッキーでもかじりつつ約1時間。
短い作品ながら、いい作品でした。