美味いもの好きの悪党たちの裏側
落語に出てくる悪い奴というのは、間が抜けていて残酷なことをしないというのが前提になっているところがありますが、講談の場合は残忍で悪人らしい悪人という感じがして、私は講談の悪人のほうが好きです。
時代劇などで、善良なものをいかにもな悪人を出してきて、その対比においてさらに善良たらしめるのは常道(勧善懲悪)だろうけれど、ケチな悪人と悪党とを並べる場合、悪党がかなり魅力的でなければ面白くもなんともない展開になります。
座頭市なんかでも、ほぼ悪人と悪党がやりあいますが、悪党である座頭市が魅力的なので面白いし凄みがある。
悪党を描くことにおいては、池波正太郎がなんとも言えない色っぽい悪党を描いているのはよく知られていますね。
緒形拳が渋い!!
この藤枝梅安は善と悪の二つの顔を持っていますが、池波作品ではこの矛盾したものを誰もが内包しているというスタンスで登場人物が描かれていることが多き気がします。そのことが、色気に通じているのではないかなぁと思います。
梅安を演じた人たちも色っぽさがある俳優さんばかり。
今年は池波正太郎生誕100年ということで、新しい梅安が登場。
もちろん、ご存知の通り池波作品の食の描写は秀逸で原作の文章だけでも食欲がわくのですが・・・映像で食べているところを見るとねぇ。豆腐なら豆腐が、味噌汁なら味噌汁が飲みたくなるという、落語の時そばとか二番煎じを聞いたあとみたいになります(笑)
ちょっとした小鉢の肴なども美味しそうなんですよ!何しろ今回の作品に出る料理の数々を監修したのは日本料理の名店「分けとく山」の総料理長。
ハゼの煮付けに軍鶏鍋かぁ、美味しいに決まってる~。
箸をつけなくても、美味しく作るというこだわりはさすが野崎さんです
ときおり暖かい日もありますが、まだまだ夜は冷え込みます。
鬼平や梅安を相手に熱燗を美味しくいただきたいですね。