生産者の顔が思い浮かびにくいのはコーンフレークだけじゃない
20年以上前のある日、海外で仕事をしていた友人が一時帰国したときにワインの話題になったことがあった。日本もそれなりにワインブームだったと思うが、様々な国を行き来していた友人は色々な国のワインの話しをしてくれた。 ニューワールドのワインのことだ。
たしかに、1990年代はバブル崩壊して低価格なワインが販売され始めたけれど、後半は赤ワインブームでバブル期に流行ったボジョレー・ヌーヴォーが再度もてはやされて、オールドワールド(ヨーロッパ)のワインも好まれていたと思う。
時は過ぎ去り・・・私は半ばアンティーク(価格の上昇はなし)になりつつあり、市場にはニューワールドのワインが出回り、ワンコイン以下のワインもよく見かける。それにともないワイン王国のフランスのワイン事情も大きく変わった。ということは、ワインを取り巻く世界が変わったというべきであろう。
ワイン王国フランスで庶民派ワインを生産する生産者が、安価な輸入ワインに苦戦している。ワインを買い取る業者が人件費の安い、生産コストの低い国からも輸入ワインを買い、フランス国内で販売するからだ。
業者が求めるのは安くていいワイン。グローバル化で競争は激しく、利益は薄い。生産高を維持するために労働時間は長くなるが、収入は増えない負のループに陥っているという。
近年、中国産のワインがワインのコンクールで受賞したりして話題にもなったが、中国の生産者は国から支援を受けて広大な土地でブドウつくりをしていて、ここに、ワインやスピリッツで世界第一位を誇るフランスの酒造メーカーやヘネシーなども出資しワイナリーをもっていたりする。
2010年代頃にオーストラリアやフランスなどのワイナリーを中国人が買収したことが話題になったが、ボルドーなども投資の一環で中国資本が入っている。中国はその経済力と広大な土地と人の数で規模の違う参入をしている。
そのうちどこの国の庶民派ワインも中国が絡んでくるようになるか・・・どうかはわからないけれど、極端に味や品質が変わらなければ生産コストが低い国のワインが買われるという流れは変化がないであろう。すると、フランスのように負のループに陥っている生産者がどの国にも増えることになるのだから。
安ければそれでいい。
商売できるなら、相手は誰でもいい。
競争が激しくなるということは、この二つが幅をきかせるということで、買いたたかれる側に回ったらとても大変になる。消費者が安いものを求めすぎると生産者は、生産量を維持しながら低コストを目指さなくてはならない。
そのつけは、消費者にまた返ってくるのだ
企業の利潤に加担するだけの消費者という道具になることもある
買いたたかれる生産者の下には、さらに労働者がいるということを忘れてはいけない
ワインの話しから色々と取り留めのない方向に・・・・食べ物と悲観的な話しは食べ合わせが悪いので、ワイン片手に笑顔が出る作品でも見て笑っておこう