愛犬と森で見つける魅惑の香り
この映画は、白トリュフにスポットをあてているというより、トリュフハンターと犬と森がメイン。観ている人にとっても感情移入するのは、ハンターの犬への愛情ではないかな。
森の映像はとても美しい
とにかく、高齢のハンターたちがいい味出しているのだ。
妻に森に入るのをやめるよう言われながらも、やめる気配がないカルロは 「過ぎ去った日々より未来を考えたい」という87才。森に入って木の枝を顔にあててしまいケガをするが、滑っても踏ん張れる丈夫な足腰を持つ・・・らしい。
そして、独身84才、最高のトリュフハンター アウレリオ。
彼の一番の心配は、愛犬ビルバのこと。
ビルバは素直でトリュフ探しが上手なまだ若い犬。常に一緒に過ごし、いろんなことを話しかけ、愛情をもって接しているアウレリオは、ビルバを最後まで面倒みてくれる人を探しているのだが・・・小切手を用意して高額でビルバを買い取ろうとする人が現れる。
アウレリオは、どうしたか・・・翌日、また小切手野郎と会う約束をするのだが・・・。アウレリオのビルバを大切に思う気持ちは本当に優しくて崇高だ。
もう一人は、欲深い人間たちに嫌気がさしてトリュフハンターをやめたアンジェロ。その昔、軽業師でモテモテだった彼は、詩人でもあり芸術家肌な頑固さがある。彼は、森で犬との狩りを楽しむでもなく、ひたすらに欲得でトリュフをさがしあてようとする人々にウンザリして引退した。仲間に誘われても、昔の友人の息子にお願いされても、ウンと言わない。
なぜそこまで失望しているかというと、その大きな原因のひとつに、手練れのトリュフハンターの犬を毒餌で亡き者にしようとする卑怯な手口を使う連中がいるからだ。実際に被害もでている。そのために、犬にとって窮屈ではあるが、安全のために口輪をつけるハンターもいるようだ。
アンジェロは、仲間になぜ自分がハンターをやめたかを伝えるためにタイプライターを打つのだけれど、煙草を吸いながらのその姿は無頼な小説家風でもある。「50年前の生活に戻るべきだ、昔は女性の服を・・・・」というくだりは、とっても笑える。
白トリュフの取引とか、業界のなんちゃらみたいなのもチラチラでてくるし、食べてるところも少しだけあるけれど、白トリュフも松茸も好き嫌いはありますからね。ガス臭かったり、お父さんの靴下の匂いがするという人もいます(笑)正直そんな場面よりも、爺ちゃんたちと犬、そして森。それだけで、十分ワインが美味しくいただける作品です。