ワイン、ビジネス、強欲
前半のシャトーとそのぶどう畑の映像を見ているだけでも癒されるし、ゆっくりワインを飲みながら眺めていたいなという気にさせられる。有名シャトーのオーナーや責任者が、土地への感謝やぶどう作り、ワインへの情熱を語る姿には、脈々と受け継がれてきた土地への畏敬の念が垣間見えます。
ぶどう畑で馬を使って畑を耕す風景は、ちょっとした絵画モードにも見えるほどです。ボルドーのトップシャトーも馬や牛を使っての耕うんをしていますね。馬を世話する人手もかかるわけですが、これは機械だけの耕うんでは得られない土壌とぶどうへの好ましい影響があるからです。
2017年にアカデミー賞のオフィシャルワイナリーに選ばれたフランシス・フォード・コッポラのワイナリーは自然農法を用いていて、エコで自然にも人にも優しいことで有名ですが、彼もこのドキュメンタリーに少しだけ登場します。
ワイン樽がならぶ樽熟庫の映像を見ると、ロバート・デニーロが、いや、若かりしヴィトー・コルレオーネが出て来やしないかと思うが、ここはフランスボルドー・・・戦いや報復なんて縁がない??ノン!!百年戦争あり、フランス革命あり、大戦ではドイツの占領下にあったこともある。
さて、このドキュメンタリーがちょいと残念でもあるのは(関心のある人にとっては面白いはず)シャトーの取り組みや、ワインの美味しさ、ぶどう作りの情熱とその歴史を期待させるような邦題でありながら、内容の多くは飲むには高すぎるレベルに上昇した最高級品のボルドーワインが投資目的の商品になっている実情を撮ったものということだ。邦題のつけかたがある意味でものすごく雑で笑うしかないが、興味を持つ人も多くいるだろう。
ワインもそうだが、ここ数年、国産ウイスキーの値段が高騰している。2000年代後半から2010年代の後半までに10倍ほどに輸出も増えている。訪日客も爆買いしていたのだろう。
このドキュメンタリーに出てくる、ワインの売買業者は金のためにワインを買う。
善悪のことではない。評論家や影響力のあるジャーナリストがすでにビジネスに組み込まれているのは、昔からだが、あまりにも過剰であるということだ。
高騰するワイン。評価されれば、もしくは評価されるであろうと思われれば、まだ若いうち(安いうち)から大量に買い込まれて、利益がのったところで売り払われる。売り払われるその量に、
「これは私の血」と言ったキリストもびっくりするであろうか、 それとも人はパンにも群れ集まり、ワインにも命がけであることを笑うだろうか。
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