飲んだ翌日の熱いお茶、香の物、そしてパリパリ海苔
明日はひな祭り、桃の節句ということで、魚屋さんにはハマグリとちらし寿司コーナーを置いた場所に可愛いポップが置かれていました。ケーキ屋さんもお雛様風なケーキや桃色のケーキをならべていて、あれこれ見入ってしまいました。
私が桃の節句を知ったのは、幼稚園くらいでしょうか。
桃の葉のを浮かべたお湯につかり、桃の葉をつけたお酒を雛あられをつまみながら大人が飲むという、ある意味大人も参加するようなイベントなんだと思っていましたが、どうやら我が家だけだったようです。友達のお家では少なくとも、子供が主役であったし、ケーキもあった。
そのころの我が家は、どうもこう、良く言えば古風だが、主の祖父が職人であったために落語に出てくる長屋っぽさが家の中にもあって、節句でも大人もしっかり参加しておかしなことになるという感じでしょうか。
台所は祖母の縄張りでしたが、しかし、家は新興住宅地にあり、洒落たダイニングキッチンで祖母はぬかみそ桶をかき回し、オムライスを食べる孫に「トマトは丸ごとが美味い!」と言い放ちながら祖父は茶漬けをすするという案配でした。
ひな祭りのメインはちらし寿司です。祖母の腕の見せ所というのか、母が出る幕なしであり、実際にそれはとても美味しかった。長寿や先の見通しやマメに働くとか材料に込められたお話はフムフムと聞いていたけれど、材料を準備しているそばから、腰の曲がるまでという長寿の願いがダイレクトに届いている祖父が寿司にのせる前のエビを火鉢で炙ろうとか言い出す展開になったり、雛あられをさっと煎り温めて、バターをからめようという父がいたりで、私にとっては、ひな祭りというよりも浮かれたおじさん祭りというのが最初の印象です。
そして、おじさんたちのご希望により、桜でんぶなど少しも散らせていない大人風な酒の肴になるタイプのちらし寿司を食べることになった私は、いまだに甘いタイプのちらし寿司が苦手なままですが、翌日残ったちらし寿司を炙った海苔でくるりと手巻きにしてパクリと・・・これが朝ごはんで、熱~いお茶を用意して、大根の香の物をパリパリ、海苔もパリパリさせて食べるのがなんとも美味しくて、こちらは大好物に。
この朝ごはん手巻きちらし寿司は、レンコンなどの具材はあらかじめ小さくしておかないと、もごもごして食べづらいものなのでご注意を。前日したたか飲んだ翌朝などに食べると、ほんと美味しさ倍増なので、ちらし寿司の機会があればぜひ、ちょいと残しておためしあれ。