彼らの店長への不満
新型コロナのコの字もない時からときどき出くわしていたが、このコロナ禍でも変わらないのか、電車に乗った時に飲食店で働いているであろう若者たちがやたらと「疲れた、厳しい、ブラック」を連呼してしていた。
新型コロナ以前は、終電間際に乗ると飲食店の従業員の愚痴大会になっていることもしばしば。
大体がシフトの組み方や責任者の段取りの悪さや責任転嫁、依怙贔屓などだけれど、過去長く使っていた帰宅ルートでは、ある特定の飲食店の若者たちと乗り合すことが多く、彼らの不満が店長がことあるごとに言う
「時給の分だけ働けよ」であることも判明した。
多くの中小規模のお店は、ギリギリの人員で営業をしているので仕事のやり方回し方というものが鍵になってくるのだけれど、
とにかく動け、働け、働いているふりをしろ
というくらいしか引き出しのない責任者の場合は、働く側のやる気を削ぐ程度の効果しか出せない。
飲食業界の労働生産性は全産業から比べると6割弱であり、正社員を抱える
ことがなかなか難しいことから、営業時に働くスタッフの構成比率はパートさんアルバイトさんが圧倒的に多いが、お客様には社員かそうでないかは関係ありません。
であれば、店づくりに寄与する人員構成比率の多い方に「お店を良くしよう」という気持ちを持たせることが出来るほうがいいに決まっているのですが、前出の責任者のように時給を持ち出して労働意欲を削いでいては出てくるのは不満ばかり。
「スタッフを大事にしたからといってお客が来るわけでもない。繁盛して余裕があれば誰だってスタッフを大事にできる」という店主さんもいましたが、
そしてこのような方は、余裕が出来てもスタッフを大事にすることは、まずないものです。待つだけ営業で、自ら営業の努力をすることをせず、スタッフを単なる作業員としか思っていないのです。
コロナ禍でテイクアウトや配達のメニューも増えてはいますが、テイクアウト品に対しての気配りは配達者さんだけが負うものではありません。
店舗スタッフの手抜きが手抜きをよんで、とんだクレームの原因になったりすることも多いのです。
お店の商品への気配りや、お客様への配慮は必ず形になって返ってきますが、それは、人にしかできないもの。
単に作業をこなすだけなら似たようなお店は価格競争で消耗するだけですし、
売り上げも大体が似たような金額になってきます。
けれども、現実はそうではない。
その似たような水準を越えるのも消耗戦の領域で留まるのも
鍵は、やはり人です。
お店の商品への気配りや、お客様への配慮は必ず形になって返ってくる
人員の構成比率の多い人たちに、その気配りや配慮を快くしてもらえることこそが、どのような状況でもお店にとって大きな支えになることは間違いないのですが、その意欲を引き出せるか否かは、店主や責任者にかかっているともいえます。
少なくとも、スタッフの労働意欲を削ぐような言葉を使わずにいるよう気を付けておきたいものです。