豪華でエロティックでグロテスクな料理
たとえば、ソーセージの盛り合わせを頼んだとする。こちらは四人。
こういう時に、はいどうぞと定められた数であっても三本で一皿のものを出してくるのは、気のきいたお店のやり方ではない。チェーンの居酒屋やファミレスでない限りは、まして客単価の高いようなお店であればスタッフが説明してお客様の希望を聞くことくらいはするといい。
気の利いたスタッフを育てられないのは、責任者が気がまわらない、お客様の目線や希望を思考しない結果である。
おっと、そんなことは映画と関係ない。
いや、人数だ、人数は関係ある。
大勢で食べるご飯は美味しいというが、それはキャンプのカレーみたいなもので、少しバイアスがかかっている。
かなりイマイチな味の食べ物を大勢で食べると、空腹での怒りはあるが周りへの遠慮もあって、少し笑いながら控えめな批判をする程度になる。
その大勢の中に25~30%の割合で味覚が鈍感な方がいて批判もあまり出ず、その中の一人が幹事のときなどは、どれもこれもイマイチなお店をチョイスしてしまい、美味しい!という直球の言葉があまり聞こえない。
「あぁ、いいね」とか「わりといけるね」とか、モデルの面接をしているみたいな言葉しか出てこない。
しかも、幹事さんはイマイチだとは思ってないという展開になり、箸が動かず急に少食になり、帰りに牛丼でも食べようかという気にさせるのだ。
だから大勢の時ほど、美味しいものでないといけない。せめて店選びの幹事は尿酸値や中性脂肪の値をオーバーしても食べ歩きするタイプの人を選びたい。
あぁ、映画だ、映画の話。
この映画は、グロテスクな場面があるので、飲食をしながらの鑑賞はオススメできない。
泥棒の親分と愛人、そして泥棒の手下どもが大勢で食事を食べ散らかす場面がよく、
ティム・ロスがいい味だしてます。
ジャン=ポール・ゴルチェの衣装、有名シェフの担当した料理たちは見もの。
ものすごく豪華で、エロティックで、そしてグロテスクで美しい大人の物語。
お子様向けではありません。
後にアカデミー主演女優賞をとるヘレン・ミレンも出演。
料理は、人の体も心も喜ばせる芸術なんだと心底思える作品。
そして、主人公バベットの魂のこもった料理と晩餐を共にする人々の人間模様。
温かい気持ちになる映画ですが、こちらもお子様には分かりにくいかも。
傑作であることは間違いなし、ワインを用意して一緒に晩餐を楽しみたくなります。
読書好きの方は本で
コロナが終息したら大勢で食を楽しもう!