崩れたケーキの予感から・・・
クリスマスイヴはなんとなく、なぜかクリスマス当日よりも気分がウキウキしていた。
幼い頃の私のクリスマスの行事は、事前に予約してきたクリスマスケーキを引換券を持って取りにいくこと。よく言えば古風、子供にとっては地味な和風菓子の生活を日々過ごしていた私は、イベント時の洋風な甘味につねに興奮気味で、クリスマスイヴにはケーキの引換券を枕元において寝ていた。
ケーキ屋さんには幼稚園の年長さんのときには、祖父と一緒にとりに行ったが、小学生になってからは自分ひとりで行った。ショートケーキ、ホールケーキがずらりとならぶショーケースの正面に立って「お願いします!」の声と共に引換券を高々と上げると店員さんがやってきて「一人で大丈夫???」と心配しながらケーキボックスを渡してくれて、外まで見送ってくれた。
大事に、丁寧に、揺らさないように、転ばないように一歩一歩ゆっくり歩いた。ケーキについているサンタが取れないように、お家の形のチョコレートが割れないように、イチゴが落ちないように。
自分が大事な役目を果たしているような気分もあり、交通量の少ない道、工事をしていない道を事前に選んだりもした。
それにもかかわらず、ひとりでケーキをとりに行って3回目のクリスマス、小石にでもつまづいたのか、軽く前のめりに転びかけてケーキの端が少しくずれてしまった。ケーキボックスの上部のフィルム状のところからケーキを除いたときにひどく悲しくなった。もうこのケーキを二度と自分で取りにこないような気がした。
帰宅すると家族は皆なぐさめてくれたし、ひどく落ち込んでいる私を励まして、私の感じた悲しみは馬鹿げた妄想だといった。
だが、翌年の両親の離婚で私の予感は現実となってしまった。
月日は過ぎて、社会人になりたての冬。
私はクリスマスケーキに囲まれていた。
残業ばかりでイチゴも見飽きて、まとわりつくクリームの香りも、シュガーオーナメントのサンタもチョコレートの家にもうんざりしていたが、役目を果たせなかった年数分以上のクリスマスケーキを飾り付け、運び・・・長い長いクリスマスイヴが終わったように感じたのを覚えている。
・・・・おっと、ちょっぴり湿っぽい話しになりましたね。
そう、クリスマスはケーキ!仏教徒も無神論者も喜んでケーキを食べるべしですね。
クリスマスケーキは不二家さんが日本で最初に発売し始めたようですが、長く続いてるってことは、その戦略は間違ってなかったということですね。しかし、一般に広がっていくまでには30年近くかかっていますから、ねばり強さは大事ですね~。ビバ不二家!!
ケーキな映画なら 、こちら↓
↑こちらの映画は、移転か閉店かを考える店主に有名デザイナーがアドバイスをする場面がありますが、とてもいいですよ~。