変食だけど美味である
夕食に出たトンカツを少し残しておいて、これにソースをかけまわして置いておき、翌日、脂が浮いて固まったそれを熱々の御飯で食べるのがたまらなく美味い
というようなことを池波正太郎さんのエッセイで読んだ気がする。
どうしてそんなものが美味しく感じるのかと思ってやってみたが、特別のけぞるほど美味しいかというとそうではない。
が・・・固まった脂分と衣にたっぷりとシミシミのソースをまとった冷えたトンカツを熱々の御飯で迎えるのは、たしかに高血圧になりそうな、胸やけしそうな組み合わせではあるが、美味いのである。
変食には、ちょっとした背徳感のある食や調味料組み合わせが多く、その美味しさを上手く説明できない場合もある。
焼いたお餅にバターをのせて、醤油につけ、さらに砂糖を少々かけるような、甘辛しょっぱいプラス炭水化物の王道などは、森鴎外の饅頭茶漬けからしたら変食とはいいにくいが、それでも、一部の人には受け入れにくい食べ方なのかもしれない。
欧米では肉にジャムや果物のソースをあわせることあるが、これとて、変食と感じる人は感じる。
いつだったか、朝食を数人で食べていたときに、生卵をよく混ぜない人を
「変だ」といった人がいたが、好みの違いか変食かは微妙なところだとも思っている。
誰でも1つや2つの変食はあるだろう。
私の場合は、ソース味で作った野菜炒めをマスタードをたっぷり塗った食パンに挟んだものが好きだったりする。
また、餡子バターならぬ餡子チーズもたまにやってしまう。
これはパン屋さんで働いていたときに、忙しくて手近にあったものでお昼を作って食べたのがきっかけで今でもたまに食べたくなる。
似たようなものでジャムチーズもあるが、これは薄いスライスのパンがよくジャムが味を決めるので、ジャム選びは慎重に(リンゴやキウイは合わない)。
サンドウィッチ用の野菜を粗く刻んでハム、ツナなどと一緒にマヨネーズとピーナツバターで和えたものをパンに挟んで食べても美味しいが(サラダにも応用できる)これ、ピーナツバターがかなり甘いタイプだと食べられない場合もあるので要注意の組みあわせ。
昭和のドラマ「傷だらけの天使」のオープニングでショーケンが食べていた
トマト、リッツ、コーンビーフ、ソーセージ、牛乳という組み合わせだって、美味しいかというとそうでもないのだが、これはやってみないと分からない。あれは、ショーケンが食べるのを見ているのがいいのだ。
昔の職場の上司には納豆ご飯を食べながら牛乳を飲む人がいて、皆に気持ち悪がられていたが、私がこっそり『豆乳さん』とあだ名をつけてからは、そうでもなくなった。
変食も誰が食べるのかやネーミング次第でイメージが変わるのだろうか・・・とはいえ、ひどく不健康な組み合わせでなければ、美味い!とほくそ笑んで楽しめる変食はいいと思うんですけどね。
美味しい変食あったら教えてくださいね!