マフィアの食事にはミートボールが多いけれど・・・
マフィア映画の食事シーンでは、主人公がめったやたらに食べることはあまりない。
名作であるゴッドファーザーでは時々食事シーンが出てくるが、主人公のヴィトー・コルレオーネや息子のマイケルがお腹いっぱいというシーンはない。
この映画の中では、ヴィトーがマフィアの世界に入るきっかけを作った、太っちょの食いしん坊ピーター・クレメンツァが一番食べているし、料理も上手だ。
彼は映画だと分かりにくいが、その後のコルレオーネファミリーを支える幹部たちを育てており、単なる食いしん坊のドンパチ野郎ではない。
同じくマリオ・プーゾの原作である「シシリアン」では、香辛料やウサギの肉が入った日持ちするパンが出てくる。山賊であるサルヴァトーレ・ジュリアーノが主人公であるため登場する食べ物がレストランのそれとは一味違うし、主人公を演じるクリストファー・ランバートが男前である。
どちらの作品も原作を読むのをオススメする。
暑苦しいアル・パチーノが見たければ「スカーフェイス」しかない。
しかし、主人公トニー・モンタナは、薬に溺れるのでほとんど食べるシーンはないが、麻薬王とのランチの最後にフィンガーボウルの中のスライスレモンを食べるシーンがある。
これはトニー・モンタナが学のない田舎者という印象付けになっているようだ。
この時同席しているトニーの先輩格マフィアであるオマー・スワレスは「アマデウス」でアントニオ・サリエリ役のF・マーリー・エイブラハムが演じている。
やっぱり食べないアル・パチーノ
「カリートの道」でも主人公のカリート・ブリガンテは食べない。
食べないが、カリートは食べなくていいのだ。小瓶のビールかウィスキーのロックで。
刑務所でガウンを着てディナー
「グッドフェローズ」では、レストランや結婚式場で大勢が集まるシーンがあるが、食事がメインではない。
食材ということでは刑務所でのディナーの準備シーンだろうが、美味しそうなのはマフィアだけが集まったバーベキューと主人公のヘンリー・ヒルが家族と作るランチの様子とビリー・バッツを埋めに行く途中に寄る主人公の相方役、ジョー・ペシ演じるトミーの母親の手料理を食べるシーンだろう。
瓶入りのケチャップのかけ方がものすごく自然なデニーロ演じるジミー・コンウェイは、罪に対してまったく動揺していないことが伝わる。
「グッドフェローズ」に出ている脇役たちは、「カジノ」にも海外ドラマの「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」でも見ることができて楽しい。
マフィアが主役ではないが、マフィアが登場する映画の中でも最も食事が美味しそうなのは「ディナーラッシュ」ではないだろうか。
人気のレストランの中でストーリーが展開していく。満席のフロアと大忙しな厨房でのやりとりは料理人ならアドレナリンがでること間違いなし。
ディナーの準備の前に観るとノリノリでフライパンが振れる・・・でしょう!