禁煙のイライラを手なずける
禁酒、禁煙というのはひとくくりにこうしたら続けられるというやり方はないのだが・・・。
私が禁煙したのは、思いつきであったのか体調の変化であったのかもう記憶にないが、私よりも周囲の友人のほうが私をきっかけとしてきっちり禁煙してしまったのはよく覚えている。
私のほうがゆるゆるとした禁煙の方法で、減煙から入ったと記憶している。
だからここに書くのは、自身がすっぱり禁煙できる性格ではない(と、自覚している、または痛感している)人に向けてのものである。
ごく短期間の禁煙が失敗すると自分を責めたり、開き直ったりする人がいるが、それはとても無駄なことで、例えピッタリの禁煙方法を見つけたとしても、それが苦しくないとか我慢がいらないということはないのであるから、禁煙には力みすぎずに向き合い、対策を用意することのほうが肝要であると私は思う。
小林秀雄はある講演会で禁煙について語っている。
煙草をやめれば頻繁に調子を悪くする胃腸に覿面に効果があると、かかりつけの医師に言われた小林秀雄は、その話をきいたその場で煙草を置いて帰ったが、医師が後から「煙草を忘れているよ」と追いかけてきたという。
「もう煙草をやめるから置いて行ったんだ」と小林が言うと、医師は笑って
「そんな根性じゃ煙草はやめられない、いつでも吸えるようにしてやめなければ煙草はやめられないよ」と言われて、非常に感心したと話している。
すでに喫煙であきらかに体調が不調な人は、すぐにやめたほうがいい。
元気であり、健康診断の数値も気にならず、性格的に一気に禁煙に踏み切れないような人は、健康志向を高く掲げても根性でやめることはかなり苦痛に感じるだろうから、まずは体内のニコチンを減らすとともに最大の敵であるイライラと喫煙欲求への対策を用意しなければならない。
禁煙したからイライラするという考えがあると、イライラの解消に煙草をと体が欲求するので、
「煙草をやめて月日が経てば、それはなくなる症状である」
ということを言い聞かせるのは、とても大事である。
煙草がイライラの原因であって、イライラの解消法ではないと理解すると同時に、その不愉快さをなんとかするためには、道具をそろえたほうがいい。
禁煙用のガムという手ももちろんあるが、私がイライラの発散に使ったのは、ミントガム、状況が許せば扇子を開閉してパチパチしたり、深呼吸したあとのスクワットなど私は体を動かす方がイライラはおさまった。
イライラをゼロにするよりも発散して、イライラ度合い10を2とか3にすることを習慣化する。
イライラ怪獣を手名付けてしまうことを習慣化する方が楽である。
ときどき、禁止区域でもあるにもかかわらず、これから電車に乗るからなのか駅のそばで機関車みたいに煙を吐き出している人がいるが、
イライラと焦燥感でいっぱいな顔である。苦しみの上塗りだ。
お酒の席では気が緩むからか、自分に寛容になりすぎるので禁煙の半ばあたりまではつい1本になって失敗例多数だろう。どうしてもお酒をと思うなら、嫌煙者と行くと誘惑は激減、また吸いたいと感じたらそう吐露してしまえば、あの手この手で阻止してくれる(はず)。
我慢我慢じゃ辛いだけ
無理に禁煙することを目標にすると、イライラに耐えて、毎日ストレスという処罰を自分に与えているような感覚にもなる。
禁煙は、習慣や依存というものを改善、乗り越えるというより、喫煙によって足を引っ張られていることへの憤りや、喫煙よりももっと有意義なことを見つけようという欲(エネルギー)の強弱によるのかもしれないと私は思っている。
喫煙欲求<自分を高める欲求
という図式が出来上がると苦痛は同じだが感じ方が違ってくるだろう。
感じ方が変わるということは、自分に変化をもたらしたという証である。
禁煙という変化は自分への贈り物であり、家族への贈り物だ。
禁煙は、イライラ、喫煙欲求を抑え込むことでなく発散することを習慣化、対策を多めに準備してスタートするのが賢明だろうと思われる。
吸った息を止めて泳ぐことのほうが苦しいから、水泳選手らは、水中で、きれいに鼻から銀の玉を作って息を吐く。
力んで息を止めて泳ぐような禁煙の仕方は長くは続かないので、まずは
喫煙欲求に勝る「自分への贈り物」を真剣に考えてリストアップしてみてはどうだろうか?
口さみしいなら
モチベーションの維持に!