責任者の採用面接には、質問よりも・・・
「いい店長候補が来るといいですね~」そう社長が言ったので、
私は問いかけた
「社長にとってのいい人材とはどんな人ですか?」
明るく、やる気があって、リーダーシップがあって、誠実で・・・・。
責任者のひな型のイメージを持ってはいても、大体が抽象的な答えが返ってくる。
責任者の採用は、なによりも採用面接する側にお店の情報が入っていなければならない。
任せる店舗の問題点や改善点をしっかり把握していなければ、目の前の人にその解決、改善を任せられるものなのかどうか、それを支えるスキルがあるかどうか分かりようがない。
ある程度の経験があり、とりあえず労働力として休日出勤も厭わずに長く働いてくれたらという人手不足の補強のような責任者が必要なのか、売り上げを維持しながら効率的な店舗運営を任せるのか、売り上げアップやリピーターや新規の顧客の獲得を目指したいのか、赤字をどうにかしたいのか、新規の店舗をお店作りから任せたいのか等々、採用者側が自分たちの状況、状態を知っていなくては目を瞑ってサイコロを転がすがごとしである。
また、現場の状況を把握していない人事担当や、お店を退職する予定の現責任者が面接をしても、イメージとしての適材を安全第一で選ぶことが多くミスマッチを生む原因にもなっていく。
特に現責任者が問題を放置したような店舗では、試用期間や職場体験で求職者に断られてしまう場合もあるので、店舗を変えて職場体験してもらったり、一定の試用期間を過ごしてもらうほうがベターである。
現場の責任者は、現場で一緒に働くスタッフの支えになるべきもので、お山の大将でふんぞり返っていては、お客様がもてはやすカリスマ性でもない限りお店の雰囲気はあまりよろしくはならない。このあたりを勘違いしてリーダーシップの発揮のしどころが分かっていない人材を採用すると、既存の従業員とのトラブルや離職をまねくので注意したい。
ミスマッチを防ぐには、まず、自分たちをよく知ること。
店舗の状況や問題点、課題、目指す方向を把握しておくこと。
採用側が店舗の責任者に望む姿勢や理念をイメージでなく明確に持っていること。
その姿勢や理念に共感し、共有し得るということが第一歩である。
自分がどんな船に乗っているか説明できない人間がその船に相応しい船長を見極められるわけがないのであるから、
面接時のつっこんだ質問を考えるよりも、まず先に己の船をよく観察してみることのほうが、必要な人材への航路を見極める羅針盤になってくれるだろう。