あるバーのオーナーが、そろそろオーナーを引退して店長にお店を譲るという話をされていたときに
「大丈夫なのだろうか?」という気持ちがよぎった。
それは、私が何度かお客としてその店を訪れたときの店員さんの雰囲気がおかしいと気づいていたからだった。
それほど立て込んでもいないのに、オーダーしたものがなかなか出てこない。
店長が常連客と話し込んでしまっている。
オーダーが通っているか確認すると言い訳じみた返答がかえってくる。
スタッフの意思の疎通ができていない。
熱くなければいけない料理がぬるい。
いつからこんなお店になったのかという驚きがあった。
お店レベルは下がる速度のほうが早い
オーナーはお店には立つことはなく、店長のことをある程度は信用しているようだったし、かなりの高齢だったので、お店を譲ることはスンナリ決まったのだろうが、はたしてどうなるかと思っていた。
数カ月後、たまたま店長とお店の近くですれ違ったのだが、くわえタバコをふかしながら大声でお客さんに営業電話をしながら歩いてきた。
サロンを見るとかなりしわがよっている。
その人となりが商売にはでるものだ
そのお店のことを知っている友人にもこの時のことを話をしたが、
「あぁ、それはダメだろうね。見られているという意識がない」
という返答だった。
以前のそのお店は、平日の前半以外は概ね盛況だった。深夜遅くまでカウンターにもテーブルにもお客様がいた。
ところが、怠慢なサービスを当たり前としてくると、じわりじわりとその影響は出てくるようで、くわえタバコで営業電話という目先にエネルギーをとられてしまう姿になる。
周囲のに点在するバーが地道に良心的なサービスを心掛けており、そのお店から去ったお客様を受け入れる場所が快適であったからか、なかなかお客様が戻ってこない状態になっていった。
週末の夜もカウンターにポツンとお客様が1組。新規のお客様をほったらかしているのか店長の姿はみえなかった。
店長からオーナーになることが決まり、怠慢、傲慢になったからなのか、最後に軽く飲みにお店に行ったときには、深夜から数時間、お客は私と同行者の二人だけであった。同行者は、このお店の前のオーナーと懇意であったため驚きを隠せなかったようだ。
メニューの名前は同じでも、人が変わる、人の心根が変わると出すお酒にも影響が出るものだ。ましてバーはお店全体の雰囲気が悪いと、対面しているお客様にすぐ伝わる。
所作の粗さ、清潔感のなさ、やる気のなさなど「おかしいな」と思えば、誰かを連れてこようとは思わないのであるから、見込み客をお店側から断っている状態を作ってしまっていることになる。
集客をしたいのに機会損失をすでにしている
店主たるものが傲慢にふるまい、スタッフの士気を下げたり、お客様の選り好みをしたりするとそのツケは客足が遠のくという形ででる。
どのような店になるか、それは人にかかっているのだ。
難しいのは、オーナーと店主が違う場合、どのような人選をするかだが、これはまたの機会に書きたいと思う。
最後まで読んでいただきありがとうございました。