その場しのぎじゃない優しさは凄みに通じる
年齢を重ねて好きになった人たちがいる。
その中のひとり、笑福亭鶴瓶のドキュメンタリー
「笑福亭鶴瓶が生まれた理由 もうひとつの、ディア・ドクター」は何度も見るお気に入りになっている。
主演した映画「閉鎖病棟ーそれぞれの朝」が、中国の金鶏百花映画祭で外国語部門の最優秀作品賞と最優秀男優賞を受賞したのは記憶に新しいが
映画「ディア・ドクター」でも日本アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされている。
両方とも笑福亭鶴瓶が演じるのは、うんざりするほど複雑な気持ちを抱く、いや自分の中に宿しているといってもいいような人物である。
難しい役どころである。共演した香川照之が「ディア・ドクター」撮影後、映画雑誌に書いた俳優笑福亭鶴瓶への言葉をドキュメンタリーの中で一部紹介しているが
これは見事というほかない。
笑福亭鶴瓶の凄みを見抜いている。
笑福亭鶴瓶が映画撮影中にみせる徹底したファンへの対応や落語ツアーで見せる苦悶は、
人と仕事に対する彼の真心を感じられます。
いい意味での落語との闘いが熱いなと。
西川監督や十八代目中村勘三郎さんなどのインタビューも短いですがあり、そこで語られる言葉もゆっくりしみてきます。
優しさが強靭な何かを作り上げるのだということを
笑福亭鶴瓶は体現しているように思える。
ラジオかなにかだったと思うが、鶴瓶が
「誰かを何かを嫌だなと感じることをやめようと思った」
というようなこと話していた。
忖度や嫌われたくないという怯えからでもなく、嫌われてもいいやという開き直りでもなく、
そんなヤワな感情ではない、好き、嫌いではない
強靭な優しさが小さな煩わしい感情を捨てたのだと思う。
その凄みが笑福亭鶴瓶の演じる「らくだ」にはある。
人気の理由が、垣間見えるかも
仕事の流儀っぽくていいですよ