小さな怠慢は習慣になる
知人と食事に入ったお店で軽くビールをいただこうとなって、さて、出てきたグラスを見ると一目見て汚れているのがわかった。
拭き残しの汚れがウロコのように小さなグラスに散りばめられていたからだ。
グラスを替えてもらいたと告げると、もちろん替えてくれたのだが、替えのグラスを拭きながら差し出したホール担当の男性は
「これで、いいですか?」と
やや自信なさげに私にきいてきたのだった。
知人はうつむいてしまい、私は苦笑いするしかなかった。
カフェのような構えだが、お蕎麦屋さんである。
お蕎麦は美味しかったし、カフェっぽいメニューのおつまみも味はよかったが、もうここに誰かを連れてこようという気にはなれなかった。
グラスの汚れよりも
「これでいいですか」が大きい。
私は、お客様は神様という姿勢と同じくらい、お店側がお客様に判断をゆだねる、お伺いを立てることも時に害を及ぼすと感じています。
もちろん、必要なことをお客様のために確認することは大切です。それはお店のためにもなることであります。
しかし、グラス一つの清潔さの基準をお客様に確かめるようでは、お店がその基準を持ち合わせておらず、また日頃から考えることもないということの証にしかなりません。
お酒を飲むお客様がグラスやジョッキ、徳利やお猪口を見るのだという感覚の欠如でもあります。
「そんな堅苦しいこと言ってさ、グラスを拭いてお客様が来るわけでもないんだし」
そういう方もいます。
でも、
拭いたところで、なんの損になるというのでしょうか?
お客様が来たその時には上手くやるということですか?
と、私は疑問を返すことになります。
それは、お客様で満席になったら最高の料理を出すというのと同じです。
満席になるのを待つ分だけ時間の無駄です。
怠慢は気づかないうちに習慣になります。
やる気や熱意を絡めとってしまう手ごわい習慣になる前に、お店全体の見直しや手入れをしてみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました!