悪党たちの食事風景
このブログの鑑食道楽というカテゴリーでは、グルメ映画や美味しい料理、料理人の出てくる映画、ドラマ、アニメ、マンガ、小説などをちょいちょい紹介しているけれど、主題がまったく食べ物と関係のない作品でも、ちょいと出てくる料理を作る場面、食べる場面がいい味だしてる作品はたくさんある。
池波正太郎の作品では、食べる場面が小説の中でもいい味をだしているのはよく知られているし、映画でいうと「クレマークレーマー」の中でフレンチトーストを作る父と子のキッチンでの場面は、なんとも言えない味わいがある。
玉子料理というものは、センスとか関係なく回数作ればうまくなる。私も、子供のときに母がしばらくの間、出稼ぎに出たことがあったが、残った兄と毎日何を食べるかで初めの頃は悩んだし失敗もしたけれど、慣れてくると朝食の準備などは無言でスイスイと作業が進み、私の玉子料理も上手になっていった。
だから「クレマー、クレーマー」の映画の中で、父子ともに不慣れだった食事作りが、時と共に淡々と慣れた手つきになっていくのは、とてもリアリティーがあるなと感じたものだ。
いや、今回は玉子の話しではない。映画だ。
私はバイオレンス描写が激しい映画は苦手であまり観ない。
しかし、食事シーンが予告などにチラリと出ていて、それが印象的であるとついチェックしてしてしまう。
この予告編はそれほどでもないが、バイオレンスな場面が多い。
こういう映画だけでなく、冒頭からはしゃいだり、偉そうに口をきいたり、ホッケーマスクの変人が近くにいる別荘のバンガローでいちゃついたりしてると、なぜかすぐ消される可能性が高い。
この映画の冒頭から鯛の姿づくりっぽい刺身(フエ)をくちゃくちゃ食べながら煙草を吹かすチンピラ感にじみ出る男が出てくるが、もちろん消された。 フエを食べながら煙草を吸うってのは美味しくなさそうだ。
さて、注目は予告編に少しだけ映る刑務所の炊事場の食事シーン。
横に長いテーブルの真ん中に座るボスであるジェホをキリストに見立て、左右に6人ずつの子分(使徒)をおいている。本編でも長く映るわけではないが、印象に残る。もちろん、この作品の中でキリストに見立てられたボスは、ワインとパンと強欲のために他人の血をたくさん流すのだが・・・。
単に暴力だけで成り上がっていくギャングものではなく、人間の持つ業というのか、こねくりまわしたような感情と情ってものが絡み合う作品。
しかし、韓国映画は勢いありますなぁ。
鯛の刺身を厚切りして、コチュジャンのタレに青唐辛子にニンニク、えごまの葉やサンチュを並べてパワフルにもぐもぐやってみようかな。