「いかれた奴らばい」
台湾のお祝い事の宴で腕を振るう宴席料理人。
神と呼ばれた宴席料理人が亡くなり、その妻は料理の腕がなかったにもかかわらず料理勝負を受けて夜逃げ、娘は売れないモデルで、こちらは恋に破れて実家に帰り、夜逃げした母のもとに。
文字で書くとなんとなく暗いけれど、もうね、めちゃ明るいです。意味不明でだけど、なぜか微妙な九州の方言が使われていて、深刻なことも全然深刻に感じないし、笑いと涙のフルコースというけど、ほとんど涙はないともいえる。
以前、笑福亭鶴瓶のドキュメンタリーで取材の人が鶴瓶の育った実家を訪ねていくと、近所の人がこう鶴瓶の家族、一家を表現した
「そりゃ、底抜けよ」
底抜けに明るい長屋の家族。
この映画はコメディー映画だから当然なんだけれど、母子の底抜けの明るさがとてもよく、なんちゃってな九州の方言がそれにマッチしていて終始笑顔で楽しめる。
調理場面がすごいとか、ため息が出るような豪華な料理とか、のけぞるような美食的なものは料理大会の場面でもそれほど多くはないが、優しきオタク達、助っ人の小悪党なども絡んでのほのぼの場面やユーモアいっぱいの展開は、やたらと妨害をしてくる敵や意地悪な権力者とかが出てくるよりも無理やりな感じがなくて好ましい。
個人的には、野外生活者の「道化師」は、説教臭くなく、軽やかで好きだなぁ。それと、夜逃げした先のお母さんのお店にある公衆電話、あれ最高!家電に欲しい。
明るく、軽やかで深刻さがない、とても胃腸にいい映画で、観終わったら、丸鶏でも煮てやろうか!中華鍋でも振るか!と元気がでますよ。