実りを、命をいただいての日々
腕利きの料理人が出てくるわけでもなく、ピカピカのキッチンが出てくるわけでもない作品だが、小さな集落に住む主人公の生きるために作って食べる、実りをいただく、命をいただくという日々が描かれている。
農業はこんな甘いものじゃない的な見方をする人もいるようだが、ゴリゴリのリアルな山の農村生活を表現したわけではないのだろうし、ドキュメンタリー作品ではないから、主人公も淡々と日焼けもせずに過酷な作業をやっていく。主人公の恋愛とか、集落の人間関係とか何かを主軸に展開しているわけでもないので、物語性があるようでない。
ただ、とにかく日々、主人公は食べるために料理を作り、季節に合わせて作物を作り、保存し、そしてまた食べて・・・どれも素朴で美味しいだろうな~と心和む作品である。
調理と食卓の場面が多いし、主人公が作る料理は、分かりやすく説明がされるし、とれる作物やその加工法についても同様であるので、ロハスな生活が好きな人が観たなら、たとえ新宿歌舞伎町に住んでいても、翌日にはプランターで何かを育てようとするに違いないだろう。
原作は、もうすこし泥臭いというか、大変そうな感じである。
私も小学生のころ、夏休みに遠縁の農作業にかりだされたことがあったが、なかなかハードであったと記憶している。なにしろ、不慣れな人間には、長靴をすんなり履くこともできない。ましてそれを履いて夏の暑さの中移動しながら作業するのだから大変だった。 年をとっているはずの祖母やその兄弟たちのパワフルさに子供ながらに驚いたものだ。
こちらは韓国版。
雰囲気としては、こちらはグッと明るい。
現在、コロナ禍でもあり、冬になって寒いが、日本版、韓国版どちらを観ても、春から秋にかけて、きっと自転車に乗りたくなる作品でもある。
私は、くるみ御飯を作ってみたが、なかなか美味しかった。作中の料理を好みの味に作り直して食卓に出してみるのも楽しみではないだろうか。