夏目漱石との友情も
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺 これは正岡子規
柿食えば腹が鳴るなり夕餉前 これは私(笑)
夕飯前にちょいと小腹が空いたからって、柿を食べたらね、お腹が空いてきますよ余計に。考えることは、夕餉のことになるじゃないですか。 何食べようかな、あれもいい、これもいい、蕎麦もいいうどんもいい、刺身も捨てがたい・・・・焼き鳥も・・・などと脳内は色々な料理がめぐっていって、するとさらにお腹が空くわけです。
「くだもの」という随筆を残している正岡子規は、お酒は飲まなかったが
大食漢で果物が大好物。
「牛肉を食べて帰ったあとに、大きな梨なら6つか7つ、樽柿なら7つ8つ みかんならば15か20」は食べるというのだから、フルーツ好きの大食いですね(笑)
正岡子規が奈良で柿を食べたのは、神戸で入院して須磨で療養して松山で 夏目漱石と2カ月近く過ごした後。すごいコンビで同居していたのだけれど 同窓生であり、落語仲間の二人であり、漱石の俳句の師匠は子規である。子規は借金をしてまで寄席に通ったというのだから入れ込みようがちがう。
さて、奈良で柿を食べた子規だが、随筆には東大寺近くの宿で柿を食べたことが書いてある。柿も美味しかったが、どうやら、柿をむいてくれた宿屋の少女も大変気に入ったようだ。 「16、7歳で雪のように色が白く、目鼻立ちも申し分ない」女の子がうつむきかげんで自分のためにせっせと柿をむいてくれるのを〔ほれぼれと〕見ていた」というのだから、気分がよかったであろう。ややボーッとして柿を食べているところへ寺の鐘が鳴る。もちろん東大寺の鐘である。この東大寺の鐘についても句を詠んでいる。
「長き夜や初夜の鐘撞く東大寺」
法隆寺に行った後に寄った茶店で柿を食べているときに法隆寺の鐘が鳴って 柿くへば・・・となるわけですが、この句は夏目漱石の
「鐘撞けば銀杏ちるなり建長寺」
という句へのお礼の句であるともいわれています。
真実はわからないけれど、私はそうであるかもなと思います。
同居して、ときには看病し、奈良の旅行費まで工面してくれた漱石への感謝と友情がこめられているようでいいものです。
ただ、柿について、正岡子規はこんなこともいってます。
「寒くなってきて食べると、お腹冷やしちゃうからね~」
まぁ、食べすぎな感がある子規ほどに食べなくても、肌寒いときの果物は やはり内臓を冷やしますからご注意。
ビタミンCの含有量も多いので、美容はもちろん、二日酔いの朝などにもなかなか効果的。とはいえ、適度な量を美味しくいただきましょう(笑)
正岡子規は病身でありながら、とても楽天家でパワフルな人だったようです。 なんとなく停滞気味でぱっとしないニュースが多いですが、正岡子規のパワフルさをその情熱を柿を食べながら取り入れるとしましょうか。