英雄と呼ばれる料理人
映画、冒頭のガストンの話しには、彼の希望、夢、喜びそして積み重ねてきた自信がでている。
革命というものには、流血、奪い合いがつきものだが、調和を軸に料理でそれを成し遂げた人はガストンくらいのものであろう。
食や、料理を通じての社会、文化への働きかけは多くの料理人が考えることではあるが、出来るようでなかなか難しい。生産者との理念を共有できてもそれを実践するには、経済的なことが大きく関わってくるからだ。
ガストンが世界のシェフの憧れといわれるのは、料理界での知名度や影響力の大きさはもちろんだろうが、生き方として多くの人と喜びを分かち合う人生を選択し、行動し、人を助け、支え、育てるということが出来たからだろう。
すごいという尊敬よりも、感謝、笑顔を集める英雄である。
とはいえ、ガストンも一直線にここまできたわけではない。
大学は出席日数と成績が悪く追い出され、コネで働くことになった法律事務所を三時間でやめている。その後、料理学校に入るのだ。
向かない職業は何かを見極める能力は高いほうがいい(笑)
大量の食物廃棄をしているこの国の多くの人が食べ物は、人と歴史を通じてここにあるということを忘れがちになっている。
野菜ひとつとってみても歴史があり、現在食べられているのは、誰かのおかげである。
その誰かの喜びの分かち合いの気持ちや研究の成果が、現在、食卓に乗っているのだということ。食材に足が生えて冷蔵庫にやってくるわけではないのだ。
知識は情報だが、感謝は導きにつながる
食育という言葉がある。大事なことだと思う。
ただ、周囲の大人が杓子定規に決められたなんたるかを教えるよりも、食が作り出されるまでの過程を理解した上での感謝を子供たちに示すことによって食への興味や自然の恵みへの本当の感謝を子供たちが感じるのではないだろうか。
日々の食卓において、美味しい喜びに関わってくれた
見知らぬ人を讃え感謝することすら忘れがちな日常では、食育はまずは大人からということになるだろう。
期待されていなかった成功 人生の望みとは
フランスで勉強したガストンは帰郷しお店を開こうとするが、そこに妻の妊娠が重なり、資金は借金をすることに。
身内からは、ほとんど成功するとは思われていなかったようだが、見事にレストラン アストリッド・イ・ガストンは成功、大成功!
しかし、その時にガストンは、立ち止まって父の問いを考えることができた。
彼の望んでいた人生とは、どのように変わっていったかは、作品の中で。