バーやバーテンダーに興味があるなら
バーテンダーという職業は、ちょっぴり秘密めいてると感じる人がいるようだけれど、技術の研鑽にしろ、素材の選び方にしろ、お客様へのアプローチの仕方にしろ、そこにより良くなろうとする情熱と探求心、努力がモノ言う職業の最もたるものだと思う。
目の前で作られ、すぐに出されるわけでお客様が美味いと感じたか、いい意味でもそうでない意味でも想定外だったか、イマイチと感じたかを間近で感じられるわけだから、ある意味プレッシャーもかかる。好みを知った常連さんか初めてのお客様かでも違う。仕事中、全方向にアンテナを張っているわけで、これは好きでないと出来ないし続けられないだろう。
【世界一のバーテンダーのプロデュースがしたお店】
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この作品には、バーテンダーしか出てこない。
バーの経営や、バーテンダーとしての技術への考えかた、お客様へのアプローチ、フレアバーテンディング、ミクソロジーの取り入れ方など、バーテンダーなら楽しめると思う。イタリア人のバーテンダーたちが長々とお喋りしてくれる作品で、ドキュメンタリーな作りではないけれど、なかなかためになることも話している。
ハリウッドのセレブも大好きなミクソロジーカクテルについては、燻煙を使ったり、化学物質を使って材料をイクラ状にするスフェリケーションについては私は好みでないけれど、材料を泡状にするエスプーマや、氷を使わないでカクテルを氷結する技法は面白いと思っている。
新鮮なフルーツや野菜はもちろん、ハーブやスパイスを使ってお酒と組み合わせてカクテルとするってのが良いのであって、あの「エル・ブリ」の料理に対しても批判があったように、食感や見た目の変化のために科学物質を使いすぎたりというのは面白くはあっても、私の好みでないから、そのような技法については、ここでは触れない。
ただ、ミクソロジーというといかにも前衛的なものにも聞こえるが、果実やハーブを漬け込むという方法は、梅酒やカリン酒など昔から使われているもので、伝統的ともいえる。
前衛的なスタイルや技法はともすれば忘れされてしまうが、伝統的なものは常に前衛的と呼ばれるもののベースになっている。とはいえ、クラシックなものばかりも退屈な時があるもの。バーテンダーが蝶ネクタイで静かにシェーカーを振るだけではない、派手なパフォーマーにだってなるのを知ったのはこの映画の人が多いはず。
大きなシェーカやらお酒のボトルなどを使って、パフォーマンスするフレアバーテンダーたちも、このBarman&Bartendersに登場するが、かなり真剣に語っている。
バーテンダーだけでなく、バー経営やバー関連の職につく人たちにも、なかなか学びのある、ためになる作品だと思う。