こんな状況だから観たい作品のひとつ
この映画は美味しい映画とか食べ物映画というカテゴリーではないけれど、 映画の中に限っていえば、私のイチオシ、将来が楽しみな料理人の若者のお話ということになるだろうか。
邦題が「僕の頭の中の落書きたち」となっているので、なんのこっちゃなんだけれども、原題はWORS ON BATHROOM WALLS まぁ、これは観たらなんとなく腑に落ちる題名。
主人公のアダムに統合失調症の症状が出始めた頃、父親が出て行った。
落ち込んでいる母親をなぐさめるためにも、手助けのためにも、アダムはもともと好きだった料理を作って作りまくる。
人気だったアメリカのドラマ「ビッグバン★セオリー」に登場するシェルドンが、
「落ち込んでいる人には温かい飲み物をださなきゃならない」みたいな感じになって、食べ物や飲み物で、誰かを勇気づけたくなるのは大人にも子供にもある優しさの表現のようなものだろうか。私も、親が離婚したときには、小学4年生だったが、やたらお茶を入れたり、ホットケーキを焼いたりしたものだった。
《料理は僕に出来る貢献となった》とアダムのセリフと共に料理の場面やお皿が出てくるが、どれも美味しそう。ラーメンまで作っている。
ただ、私の現実と違い映画の中のアダムは、料理の腕があがったころに、母親に恋人ができて、その彼と同居することになるという、より一層複雑な展開になる。難しい状態だなと思う・・・私は後妻の子として生まれたが、物心つく頃になって、いろんな事情を察して大人を傷つけないように気を配ることは、子供には、ずいぶんとハードなことだ。
まぁ、いい。映画だ、映画。
主人公のアダムは、タイタニック号の最後の晩餐を作ることもできる料理オタクである。タイタニック号といえば、当時の最新の厨房設備が揃えてあり、 80人ほどの調理スタッフが24時間体制で働いていたといわれる。沈没前日のランチメニュー(一等船室のもの)がオークションで1千万円近い値段で落札されたのも話題になっていたことがあったような。
多くの図版があり、 料理好きな人だけではなく、歴史好きの人にもオススメ
好きな女の子が出来て、治験薬がいい感じに効果が出てきていたのだけれど・・・その好きな料理が新しい治験薬のために上手くいかないという展開にもなる。
あとは、観てのお楽しみということだけれど、途中から神父の役でアンディ・ガルシアが出てくる。ゴッドファーザー3でジョーイ・ザザにかみついた脂っこさもなくなり、いい感じのオジサマになっていたが、どこかこう、裏で悪者退治してそうな貫禄は残したまま(笑)
その神父がアダムに言う
神がくださったのは、
臆する魂ではなく、力と愛の魂
このコロナ禍、力と愛の魂がこの国の政府にあるかどうかは分からないけれど、人としては、多くのことが試されているようにも思う。誰もこんなことになるなんて思わなかったのだから・・・。
最後に主人公アダムが気づく力と愛とは、向き合うとはどういうことなのか。とてもいい味だしてる作品です、是非ご覧あれ。