かつ丼談議で乗り過ごす
「何たべたい?」
「カツ丼!!」
「オーッ、俺も~」
「オレ、グリーンピースいらねー」
「ソースはケチっちゃダメだよね」
駅のホームで部活帰りの高校生たちが話している。
カツ丼と即答した男子に全員が賛同したようで、テンションがあがったのかスキップで駆け出しそうな勢いで電車に乗り込み、電車内でもワイワイガヤガヤとかつ丼のサイズについて話したりしていた。
これが年齢を重ねてくると、
「かつ丼?ん~最近胸やけがねぇ」などとなり、さらに重ねると
目の前の若者が「かつ丼セット大盛で」と頼んだ途端に
「若いっていいねぇ」と言ってみたり
「オレも昔は丼からはみ出るようなかつを毎日食べたものだよ」
などとノスタルジーまじりな自慢をしたりすることになる。
もちろん若者にもかつ丼が苦手な人もいるみたいだけれど、
その理由が「甘い」だったり「卵とじが嫌」だったりして、 トンカツが嫌というわけではないようだ。まして胃もたれを心配することも少ないだろうと思う。
確かに、かつ丼は食べ終わるまで、甘辛い味が続く。ついてきた漬物がたくわんだとさらに甘辛いは続くし、卵とじが苦手である場合はベーシックなかつ丼はその地域によって違うこともあるけれど、とんかつ定食にしたほうが無難である。
かつ丼には、卵とじタイプ、ソースかつ、味噌かつ、たれかつ、デミソースかつなどがある。
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(C)公益財団法人岩手観光協会
こちらは甘酸っぱいあんかけソースがかかっていて、ちょっとめずらしいタイプ。
卵とじのタイプの次に多いのはソースかつだろうけれど、このソースは味もこだわりも違うし、甘め、しょっぱめも地域によって違うようだ。ソースにかつをくぐらせたものと、上からかけたものでもソースの差は出てく。酸味がききすぎても、しょっぱくてもソースは食べ飽きるし、甘すぎてもすぐに満腹感がくる。そう考えると、ソースかつ丼はなかなか深くて面白い。いや、卵とじのかつ丼だって深いぞ!!という方がいるのは分かる。卵の硬さやたまねぎの薄さにまでこだわったら・・・そうそこなのだ、卵とじに少しはポイントがもっていかれるために、逃げ場のない直球勝負のソースかつ丼に面白みを感じてしまう。ソースかつ丼の逃げ場はキャベツかもしれないが、キャベツが乗っていないものもある。
「卵でとじたかつ丼は、とんかつの味に下駄をはかせたようで嫌いな食べ物だ」 昔、そんなことを言った男がいた。こんなことを言い出すひねくれた男とは付き合ってはいけないのに物好きにも結婚してしまった女がいる・・・・私の母だが(笑)
生まれてくる子供は、素直で食べ物にひねくれたことを言わないような、卵とじかつ丼とソースかつ丼を比べるような、そんなことを考えているうちに電車を乗り過ごすような子にはなって欲しくないと思っただろうけれど、私は高校生たちのかつ丼談義に耳を傾けながら、グルグルとかつ丼のことを考えて、駅をふたつも乗り過ごし高校生たちと同じ駅で降りている。
私もかつ丼を買って帰ることにしよう。
卵とじでもソースでも、やっぱりとんかつはテンション上がるよ!
こちらも、テンションあげますよ!
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